第15巻『大切なものは心だ』

"千年余の夜行列車・・・終着へ発て。"

小学4年生の冬休み最初の日、オイラはじいちゃんから「ヨメに会って来い」って言われて青森に送り出された。旅のお供はねこまたのマタムネ。オイラの初めての持霊になってくれた猫の霊は、麻倉家に1000年も仕えてきたらしいすげぇ霊だった。…え? 嫁の話はどうした? …Tシャツ1枚で道に飛び出したオイラの前にアイツが居た。そして「通行の邪魔よ」「死ね」…そう言ったアイツの横顔は、白い頬に寒さで微かに紅が灯って――『恐山ル・ヴォワール』。前編を収録。