恐山から鬼が来る。『シャーマンキングFLOWERS』第10廻感想・考察


"北の場末の山でひとり。"


前回、葉とアンナの登場や花の過去など、大きな盛り上がりを見せた『シャーマンキングFLOWERS』。これほどの盛り上がりはしばらくないだろうなあ…と思っていたのですが、今回も武井先生はデカい爆弾を落としていきましたね…。
そんな感じで、2ヵ月続いてテンション最高潮な『シャーマンキングFLOWERS』第10廻「節分」の感想・考察です。2月3日にアップして二重の意味で節分更新!とかやりたかったけどリアル方面が忙しすぎてそれどころじゃなかったよ…。

※この記事はジャンプ改3月号発売前に書いたものなので、11話のネタバレはありません。

※当記事では「引用」に該当すると考えられる範囲で漫画本編の画像を使用していますが、もし問題等ありましたら、サイドメニューのアドレスまでご連絡ください。

小鬼


"死の淵から舞い戻った花!しかし様子がかなり変で…!?"
絶叫と共に覚醒した花。そんな花の"おもかげ"に危機感を覚える路菓。結局、このおもかげはアンナのことだったのでしょうか?どちらかというと葉やアンナよりもルドセブに似た印象があった花ですが、今回の話で二人の血を引いていることを実感させられましたね。

阿弥陀丸を奪われ、鬼兜を封じられている花。そんな花のまわりに現れたのは、O・S小鬼。小鬼といえば、どちらかと言えばアンナではなく葉のイメージですが、この子鬼はそれとは別物なのでしょう。

(『シャーマンキング完全版』5巻 原色魂図鑑より)
というのも、葉や葉明が使っていた小鬼は地霊を式神の術でオーバーソウルしたものでした。一方、花が呼び出した小鬼はモールにうずまく欲の思念をオーバーソウルしたもの、これは負の感情を持った霊魂のことだと思います。つまり、ルヴォ時代のアンナが無意識に生み出していた鬼と同じ原理なんですね。直後に中鬼が出現したことからも、この子鬼は式神ではなく、アンナが生み出していた鬼の超初期版ということなんだと思います。
それでも"小鬼ストライク"を使う辺りは、葉を思い出させますね。

そんな花に対して、路菓は大凶を使ってO・S明星山鉾を形成!って、出来るんだそれ!?
石化している大凶でオーバソウルが可能というのも意外ですが、それよりも路菓が葉羽のO.S.を使えたというのが驚きです。

他人の持霊で他人のオーバーソウルを使うという例は確かに以前にもありました。ホロホロがアイスメンの持霊で戦う場面とか。しかし、第2廻の感想でも書きましたが、月詠鉾は高いオーバーソウル形成技術が必要と予想されるんです。それをあっさり作り出してしまうとは…やはり姉弟だからこそ出来ることなのかな。修行時代に、お互いのオーバーソウルを使えるような訓練もしていたとか?もしくは、これも"本体"に操られているからこその芸当なのでしょうか?

中鬼・大鬼


小鬼に続いて、花の周りから湧き出す中鬼。「鬼は外」とつぶやくばかりの花ですが、トランス状態に入っているのでしょうか?
際限なく湧き続ける中鬼を怪光線で薙ぎ払う明星山鉾。すると今度はパワーアップ!中鬼が出現!
さらに、無無明怪光線を喰らうと同時に、大鬼に進化してしまった!?

(『シャーマンキング完全版』171廻より)
アンナの大鬼は、パワーアップ!中鬼が無数の鬼を喰らうことで吸収・進化したオーバーソウルでした。108の魂でオーバーソウルされた中鬼の10倍、1080の魂によるオーバーソウル。しかし、花の大鬼は吸収せずにただ進化。それに、いくら大型のショッピングモールとはいえ、1080も欲の思念を持った霊が漂ってるとは思えません。てか嫌だよそんな心霊モール!
つまり花の鬼を形成している魂の数自体は、アンナのそれより少ないはずなんです。にもかかわらず大鬼を生み出せるということは、花の力がそれだけ凄いということですが…。


何気に葉羽が「恐山ル・ヴォワール」での出来事を知ってるようなことを言ってますが、実際のところ、シャーマンって霊に聴いて回れば多少昔のことでも知ることが出来るんですよね。アンナが初登場時に葉の病院に来たのもそれですし。そう考えると、シャーマンにかかればプライバシーなんてあってないようなものなのかも。裏麻倉家の場合は、それらの情報を例の"黒幕"から聴いている可能性もありそうですけど。

破壊されても消えきらずに再生を始める鬼の残骸。大鬼といえば、ルヴォ編でアンナが生み出した最高位の鬼です。それが出た以上、これ以上鬼が進化することは考えづらいし、どうなるんだろう…と思っていたら、こんなものが出てくるとは…!

闇鬼


現れたのは黒い幕に覆われた巨大な骸骨・"闇鬼"!巫力無効化の怪光線は吸収され、天射も通用せず、震電雷電の分離攻撃もものともしない闇鬼。花の持つ鬼の力の存在を知っていた風な路菓ですが、ここまでの存在は想定外だったのでしょうか?
本体を破壊され気絶する路菓。これはオーバーソウルを破壊されたショックというよりも、洗脳?が解けたことによるものと思われます。


オーバーソウルが破壊されたということは、次回あたりに"本体"の正体が明らかになるのかな?前回の感想で、持霊の正体を知らないまま使役していた例としてX-LAWSの天使を挙げましたが、その天使の正体が明らかになったきっかけはルシフェルのオーバーソウルが破壊されたことでした。"本体"も、今回オーバーソウルが破壊されたことで、素の霊の状態で姿を現すことになりそうですね。


路菓が倒れ、今度は葉羽に牙をむく闇鬼。「死ね」と繰り返しつぶやく姿が怖え…。この筆文字、『機巧童子ULTIMO』では頻繁に登場しますが、マンキンで出てくるのは何気に初めてですかね。
闇鬼に捕まり、絶体絶命の葉羽。大鬼は言葉責めで人の心を折る能力がありましたが、闇鬼は存在そのものが、相手の心を折るのに十分な威圧感があるように思います。


そんな葉羽を助けたのはアルミ。「鬼は外」とばかりつぶやいていた花と対照に「福は内」と、豆を打ち出して闇鬼を粉砕!しかしFLOWERSで「パッチカフェ豆」の名前が出てくるとは思いませんでした。タリムの親族がパッチ村で経営してたりするのかな?外界にチェーン展開してたら驚きですけど、パッチ族は商売下手だからさすがに無いか?「ゴルドバ」が豆の名前になってるってことは、過去の族長の名前から付けられているのかも。
消える闇鬼。アルミの打ち出した豆に特殊が効能があるのか、それともアルミの巫術に仕組みがあるのか、鬼のオーバーソウルだから豆が効くのか、その辺も気になりますね。
花が鬼を生み出すのは"節分状態"によるもので、花が死に瀕したときに鬼が出るらしい。これって能力の内容自体は葉羽を馬鹿に出来ないレベルの中二感溢れる設定なんですけど、名前のおかげで脱力感が凄いなあ…(笑)こういうセンスは武井先生らしいですね。


ここでアルミの口から語られる花についての真実。前回、花が視たヴィジョンでヘリの機銃に撃たれた花ですが、なんと全部の肉が吹き飛んで死んでしまったらしい。

(第9廻より)
結局、葉のS.O.Eの防御は間に合わなかったということに。あの体勢だと、花を抱えていたアンナも無事では済まないと思うのですが、どうなったんでしょうか?原色魂図鑑によれば、紛争地帯でアンナは、ファウストとエリザの力を借りることで怪我人の治療をしていたようです。ということは、葉がファウストの力を使ってアンナは助かったけど、肉体の損傷が激しすぎて花は蘇生できなかったとか?何にしても、この時花は一度グレートスピリッツの元へ逝くことになってしまったようです。

そしてグレートスピリッツの中で花が出会い、"節分状態"の力を与えられた人物「あいつ」。ということで…来ましたよ!マンタリテ版ではメイン的に出てきたけど連載版では中々登場せず、作中でも散々な言われようだったおじさんが!ついに!!

"衝撃の事実ッ!!!そして、次号「神」が登場ッ!!?"

闇鬼=G・S? 鬼兜=マステマ・ドルキーム?

(『シャーマンキング完全版』292廻より)
今話のラストでシャーマンキング・ハオから与えられた力であることが判明した"闇鬼"。言われてみれば、シルエットがグレートスピリッツに似ているようにも思えます。この力を与えられることが生き返る条件だったということは、それだけリスクを伴う力ということなのかな?マンタリテ版では"試練"として三代目アンナを花に引き合わせたハオですが、連載版では闇鬼の力を制御することが花への"試練"なのかもしれません(試練かもしれん)。
ここで気になるのが、花は"節分状態"のことを知っていたのかどうか、です。ハオに関しては、これまでも作中で触れられてきましたが、それは花が直接ハオと会ったことがあるのか、人づてに話を聴いただけなのか判断出来ない程度の触れられ方なんですよね。前回を読んだ感じだと、ヴィジョンを見て思い出したようにも見えますし。
ただ、もし花が"節分状態"のことを知っていたのなら、鬼兜はリゼルグのマステマ・ドルキームと同じ性質のオーバーソウルなのかも、と思いました。

(『シャーマンキング完全版』24巻 原色魂図鑑より)
マステマ・ドルキームは炎の属性を持つ甲縛式オーバーソウル。ハオに対する憎しみを克服するため、あえてハオと同じ炎の属性を身に着けたものでした。
(第2廻より)
鬼兜は鬼を模した甲縛式オーバーソウル。マンタリテ版で登場したときは、単に葉(白鵠)とアンナ(鬼)のオーバーソウルを合わせた感じのオーバーソウルなんだなー、と思ったんですが、もし花が"節分状態"のことを知っていたのなら、自身の中の鬼を克服するために、鬼を模したオーバーソウルを作り上げたのではないか、なんて考察も浮かんできます。

シャーマンキング0-zero-

本編の内容からの推測ですが、次々号あたりで一度『FLOWERS』が休載になって、読切シリーズ『0-zero-』が掲載されるんじゃないかなと予想しています。
『FLOWERS』連載前に連続掲載され、一度幕を下ろした0シリーズですが、コミックスに巻数表記があったことから、まだ続くことが示唆されていました。そこで個人的に前々から想像してたんですけど、もし0シリーズがまた始まるとしたら、それは『FLOWERS』で前作のキャラが登場する時なんじゃないかと。
ファウストが出たらファウストの0ストーリー、竜さんが本格参戦したら竜さんの0ストーリー、二代目アンナが登場したらアンナの0ストーリー、ミュンツァー兄妹が登場したら完全版でも消化不良だった母親絡みの0ストーリー、みたいな感じで。
次号でハオが本格登場するみたいですし、その次の号には1000年前のハオの0ストーリーが掲載されるんじゃないかと、勝手に期待しています。

おまけ・予告詐欺

前号のジャンプ改の柱にかかれていた『シャーマンキングFLOWERS』第10廻の予告がこちら。

そして実際の第10廻の花と葉羽がこちら。

コン…ビ…?


ジャンプ改 2013年 02月号 [雑誌]

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シャーマンキングFLOWERS 1 (ヤングジャンプコミックス)

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シャーマンキング0─zero─ 1 (ヤングジャンプコミックス)

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シャーマンキング 完全版 5 (5) (ジャンプコミックス)

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シャーマンキング 完全版 16 (16) (ジャンプコミックス)

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シャーマンキング 完全版 24 (24) (ジャンプコミックス)

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シャーマンキング 完全版 27 (ジャンプコミックス)

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